THE INOUE BROTHERS...
Y. & SONS × THE INOUE BROTHERS...
コラボレーション背景
“Style can’t be mass-produced...(スタイルは、大量生産出来ない)”をスローガンに掲げるTHE INOUE BROTHERS...(ザ イノウエブラザーズ)と、「日常に、『わざわざ、きものを着る』という非日常を取り入れる。」スタイルを提案するY. & SONS。ものづくりに対する深いこだわりと価値観を共有し、繋がりを深めてきました。
THE INOUE BROTHERS...は、デンマークで生まれ育った井上兄弟(聡氏と清史氏)によって2004年に設立されました。彼らはペルーで生産される世界最高峰のアルパカ素材に注目すると共に、生産者の貧困問題を改善するべく、「ダイレクトトレード」を取り入れたものづくりを行い、仲買業者を挟まないことによって生産者の利益を増やすようにしました。彼らの取り組みにより、生産者の生活向上だけでなく、品質の高いブランドオリジナル商品の適正価格での販売と、持続可能なものづくりを実現しています。
Y. & SONSは、ブランドのものづくりに使用する原料が、生産者の生活を脅かしてはならないという想いから、オーガニックコットンを使用しています。また、ものづくりの過程で余ってしまった糸や、きものや羽織を仕立てる際に残った布を用いて、羽織紐やバッグを製作するなど、環境に配慮したサステナブルなものづくりを行っています。
THE INOUE BROTHERS...の理念に共感し、2018年より取り扱いを始め、交流を深める中で、私たちにしか出来ないものは何かを考え、2022年にリリースしたのが「アルパカ素材によるきものと羽織」でした。
EPISODE 4 25AW Royal Alpaca / DARK BROWN
THE INOUE BROTHERS Together with Y. & SONS
今回で4度目を迎えた Y. & SONS と THE INOUE BROTHERS のコラボレーション。
ペルーの大地で育まれたアルパカが、THE INOUE BROTHERSの感性と交わり、様々な国のアイデンティティが合わさり、きものとして姿を変える。
それは、単なる「コラボレーション」という言葉では収まりきらない。
国や文化を超えて紡がれる、7年という時間を重ねて築かれてきた「パートナーシップ」である。
値段ではなく、込められた想いこそが本当の価値
撮影とともに選ばれたのは静岡県、浜松にある二橋染工場。
そこは「最もカジュアルなゆかたや手拭い」をつくる場所でありながら、職人の強い想いとこだわりが息づいた工房。
日本の伝統工芸というと、高価で格式の高いものばかりに目が向けられがちだが、本当に大切なのは、価格ではなく「込められた想い」。日常を彩るゆかたや手拭いもまた、職人の誇りと努力の積み重ねによって支えられている。
二橋さんは、まさにその象徴のような職人だ。 「できない」と言わず、どんな要望にも誠実に応えようとする。 研究熱心で、常に“次”を見据えてものづくりに向き合っていらっしゃる。 Y. & SONSの商品も手作りだから良い、文化だから、伝統だから良い。そんな言葉ではなく、「純粋にかっこいい」から欲しい。と思ってもらえるようにものづくりを行っている。そんな想いを感じて欲しくて、今回、THE INOUE BROTHERS…チームと浜松に訪れた。
ロイヤルアルパカとY. & SONSの生地づくり
このプロジェクトの特別さは、素材選びにも表れている。
「ロイヤルアルパカ」と呼ばれる最高品質のアルパカは、毛の細さ16~19マイクロというトップクラスの繊維のみが該当し、手触りの滑らかさと肌への心地よさで区別される。
Y. & SONS のために作られるアルパカ生地は、100%ロイヤルアルパカで、ウールや他素材のブレンドは一切なし。
さらに、きものとして美しく着られるよう、薄さや毛足の長さまでオーダーし、ペルーの工場に何度も細かく注文を出して完成させたものだ。
「アルパカだから良い、というだけではなく、きものとしての美しさにきちんと寄り添う生地でなければならない。」
現地の職人にとっても、きもの用の生地を想像しながら作ることは大きなチャレンジだった。
想像し得ないものを形にする、そのハードルの高さこそが、この生地の価値の本質である。
EPISODE 3 24AW Pure Black Alpaca
夢だった「ピュアブラック アルパカ」のきもの、ついに実現
Y. & SONSとTHE INOUE BROTHERS...による、待望の「ピュアブラック アルパカ」のきものと羽織を24AWに発表しました。
このアイテムには、両ブランドの情熱と想いが深く込められています。出会いのきっかけであり、その瞬間から続いてきた無染色の「ピュアブラック アルパカ」へのこだわりが、ついに形となりました。
特に無染色の「ピュアブラック アルパカ」に対するこだわりは、単なる素材選びを超えて、文化的な意味を持つものとして表現されています。
※「ピュアブラック」 天然の動物繊維の中で、唯一黒色の毛を持つアルパカからつくられた無染色の生地。茶みがかった自然な黒色には艶があり、一頭から約300gと非常に少量しか採取できません。
日本とアンデスの文化が繋がる瞬間
このプロジェクトは、単なるファッションアイテムを超えた「文化的な繋がり」を生み出しました。聡氏は「日本とアンデス、地理的には遠く離れた場所にありながら、どこかで繋がっている。今回、この素材できものを作ることができたのは、まさに文化的な再解釈だと思う」と語ります。
「ピュアブラック アルパカ」のきものと羽織は、単なるものづくりの枠を超えて、両ブランドの情熱とそれぞれが培ってきた独自の視点と文化への深いリスペクトを象徴するアイテムとなりました。
「今回できたことは、まさに奇跡」コラボレートをして3度目の秋冬を迎え、ついに実現したピュアブラック アルパカのきものは、Y. & SONSにとっても大きな挑戦となりました。
ピュアブラックへの想い、最初は無理だと思っていた挑戦
このきものが実現するまでには、数年にわたる挑戦と試行錯誤がありました。ピュアブラックできものを。という願いはY. & SONSが当初より提案していましたが、生地の用尺を必要とするきものは、井上兄弟にとって「無理だろう」と思える大きな挑戦でした。
THE INOUE BROTHERS...デザイナー:井上聡氏
井上兄弟によるピュアブラックのプロジェクトが始まったのが2015年。当時無染色のピュアブラックのアルパカは50頭ほどしか生息しておらず、とても貴重な存在でした。世界中のアルパカ製品を見渡してもピュアブラックの製品はどこを探しても存在していませんでした。聡氏にとっても、特別なものだと語るピュアブラック。彼らはアンデス山脈を巡り、ピュアブラックのアルパカを探すことから始め、研究を重ねたことで、現在では約2000頭まで増やすことができました。
素材の魅力-日本文化への親和性から新たな価値創出へ
「ピュアブラック アルパカ」の黒は、日本人の髪の毛の黒にも似ており、日本文化に対しても強い親和性があると感じています。聡氏もまた、「このピュアブラックという色は、日本の美意識に通じるものがある」と語っています。そういった素材を伝統的なきものという形で表現することは、過去と現在を繋げる新たな価値を創出することでもあります。
ピュアブラックの素材できものを作るということは、ただ「希少性のある贅沢な一品」としてではなく、その美しさへの深い理解と、その素材への取り組みに向けた「決断」と「挑戦」でした。
EPISODE 2 23AW Royal Alpaca / LIGHT GREY
和裁士との挑戦-新たな文化へ
今回のリリースにおいて、和裁士の方々との密なコミュニケーションも重要な要素でした。通常のきもの素材にはないアルパカの素材を仕立てるには、これまでとは異なる技術が求めらます。Y. & SONSでは、単に「これを作ってくれ」と依頼するのではなく、素材の特性を伝え、一緒に作り上げていく過程を大切にしています。きものという文化を現代において新たに再解釈し、アルパカという素材に命を吹き込むための重要なステップ。きものの縫製はシンプルに見えますが、そのシルエットや裁断において非常に繊細な技術が必要であり、アルパカの毛を用いることは、縫製や仕立てにとっても新たな挑戦でした。

EPISODE 1 22AW Royal Alpaca / DARK GREY
私たちはアルパカのきものを通じて、きものが国籍を問わない衣服の1つとして、皆様の日常に「わざわざ、きものを着る」という非日常をご提案いたします。





■ 2024AW
Y. & SONS×THE INOUE BROTHERS...
Pure Black Alpaca / PURE BLACK





■ 2022AW
Y. & SONS × THE INOUE BROTHERS...
Royal Alpaca / DARK GREY
きもの¥121,000(税込)
羽織¥115,500(税込)